上棟式の方法・やり方・手順や使い方・流れなどについて

上棟式の方法概要
古くから木造建築物を新築する際に棟木をあげる時に家屋の守護神や大工の神を祭って、末永く新築建物に禍が無いように、また幸多かれと願う祭りごとです。したがって、木造建築にとっては最も重要な儀式であるということが出来ます。木造建築においては大工が自分で図面を描いて、それに基づいて材木を加工します。建物の骨組みになる部分が完成すると建設場所に搬入することになります。建物の注意となる棟木を取り付ける時に上棟の儀を行うことになります。儀式においては様々な道具を使用するために事前に綿密な計画を立ててて準備をします。
上棟式の手順・方法01
木造建造物の上棟式の準備としては棟札、幣串、弓矢、散餅及び散銭と折櫃二組、振幣2本、木槌2柄、棟木、曳綱2本、博士杭を事前に用意しておきます。式典を取り仕切るのは主に大工となりますので、上等の儀の経験豊富な大工がいれば、特段問題はありませんが、あまり経験のない場合には、道具の使い方を事前によく把握したうえで、神主の先導のもとで方法ややり方、手順や流れを理解して行わなければなりません。上棟の儀に入る前と上等の儀の後は神主が指導することになりますので、この受け渡しをうまく運ぶことが上棟式が成功するカギになっています。
上棟式の手順・方法02
木造建築においては事前に準備した道具はそれぞれ役割を持っています。棟札は建物の建築記録として残すものです。表面には祭神名、神社名、新築や改築の趣旨、地名などを記します。裏面には工事の施工の年月日、建築主、設計者、施工者名等を墨で書き入れます。幣串は神に奉るための礼物と紙垂、麻等を木や竹に挿したものです。弓矢は破魔弓と破魔矢のことで邪気払いを意味しています。散餅は紅白の子餅が一組、散銭は穴あき銭を金銀にメッキして、金銀二枚を一組として紅白の細い紙片で穴を通して縛ったものです。餅と銭を適量用意して折櫃に納めます。
上棟式の手順・方法03
振幣は檜の材木で長さ1,500ミリメートル、30ミリメートル角を用意して、上端に割れ目を入れ、そこに紙垂をはさみ、麻ひもを数本垂らします。手順としては一本は曳綱の儀の際に使用し、一本は槌打ちの儀の際に使用します。棟木は実際に建造物に使用するものを据え付けておく方法もありますが、一般的には儀式用として檜の角材を祭壇の前のステージに用意することが多くなっています。 曳綱は白い布製で棟木から博士杭までの長さとなっています。一方を棟木の本に、一方を末に結び付けたうえ両端を伸ばして博士杭に結びます。博士杭は基準の位置を示すもので、丈量によって杭の位置を決めて打ち込みます。
上棟式の手順・方法04
上棟式の式次第は初めの方と終わりの方は地鎮祭や竣工式と何ら変わることはありません。参列者が全員集まった段階で式場に着席します。全員の着席を見計らって神職が入場します。神職が修祓、降神の儀、献饌を行います。一般的には少ないのですが、事情があって建設地で儀式を行わずに、神社で行う場合には降神の儀は省略されます。祝詞奏上が行われて神職が一呼吸置いた後に上棟の儀が執り行われることになります。司会者はこの流れが滞り行われるように事前に神職と打ちあわせておく必要があります。神職によってやり方が異なる場合があるからです。
上棟式の手順・方法05
上棟の儀の進行は工事を実際に実施する大工が主導します。上棟の儀の流れは曳綱の儀、槌打ちの儀、散餅散銭の儀、丈量の儀の順番で進行します。曳綱の儀では関係者がそれぞれ曳綱を持ち掛け声をかけながら三回綱を引くことを、三度繰り返します。槌打ちの儀では大工がまず千歳棟と掛け声をかけた後、続いて万歳棟と掛け声をかけ、最後に永永棟と掛け声をかけます。ここでは振幣と槌の使い方に注意をしなければなりません。いずれの場合でも左上に高く構えるのが正しい使い方ということが出来ます。散餅散銭の儀では二人の大工の撒くタイミングが合うことが重要です。
上棟式の考察
上棟の儀の最後の丈量の儀を行います。丈領の儀を行う場合にはステージの下右側に博士杭と槌を、左側に尺棹、標竹、及び槌を準備して案に置いておきます。大工はまず北側で東西の長さを尺棹で測りその中心を決め、次に東側で南北の長さを測りその中心を決め、さらに西側で南北の長さを測りその中心を決め、最後に南側で東西の長さを測りその中心を決めます。こうしてから博士杭までを尺棹で測り、博士杭の位置を確認します。確認が終わると博士杭の位置に標竹を立て、案から取り上げた槌で大工が標竹を博士杭の位置に打ち込みます。最近は打ち込みを省略することもあります。
上棟式のまとめ01(使い方や注意点など)
鉄筋コンクリートの建造物の上棟式は木造の場合とは大きく異なります。鉄筋コンクリート工事の場合には最上階のコンクートを打設した段階で式典を執り行います。鉄筋コンクリート工事の場合には最上階のコンクリート打設よりも後になるペントハウスもコンクリート打設をもって上棟と定義づける場合もあります。鉄筋コンクリート工事には木造建築における棟上げや鉄骨工事におけるボルト締めのようなことは行われませんので、式典を行う場合でも上棟の儀は簡素に行われることになります。場合によっては地鎮祭と竣工式だけを行い、省略することも少なくありません。
上棟式のまとめ02(使い方や注意点など)
鉄骨鉄筋コンクリートの建造物の上棟式は鉄骨の最終節を組む頃に行われるのが一般的です。上棟式の式次第の中に上棟の儀或は鋲打ちの儀として組み込まれます。この行事はあらかじめ準備した鉄骨梁の一部に鋲を差し込み、スパナで締めたうえでハンマーで検査するというものです。この行事に参加するのは建築主、設計者、施工者などの工事関係者だけで内輪で行われることが多くなっています。式次第では上棟の儀或は鋲打ちの儀の部分以外は通常の式典と同様に神職が取り仕切ります。また、鋲打ちの儀についても基本的には神職が道具を手渡しします。
上棟式のまとめ03(使い方や注意点など)
鋲打ちの儀を行う場合には鋲打ちの所作が他の祭儀の所作よりも判りにくいので、司会者は参列者が行事が良く見えるように誘導する必要があります。神職は鉄骨梁を大麻でお払いします。お払いが終わって鋲締の儀に進みます。鋲締の儀は通常設計者の代表と施工者の代表が行います。スパナによってナットを三回軽く締める所作を行います。その後建築主が検鋲の儀を行います。建築主はまず右側でハンマーでボルトの頭を三回たたいて金鋲の検査を行います。同様に左側でハンマーでボルトの頭を叩いて銀鋲の検査を行います。検査が終わると針をクレーンで吊り上げ終了します。
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上棟式については木造建築と鉄筋コンクリートや鉄骨の建造物の場合で方法ややり方が大きく異なります。したがって手順や流れには十分注意をしなければなりません。木造建築においては上棟式は棟上げといって地鎮祭や竣工式より重要なメインの行事となっています。最近は鉄骨や鉄筋コンクリートの建造物が増えているので、中間時に多様な祭儀が行われるようになっています。立柱式や鋲打ち式も広い意味で言えば上棟の儀に含まれる行事ですので、式典を行う際には事前に関係者で齟齬が無いように打ち合わせを行っておかなければいけないという状況です。